湿度が高い季節に体調不良が起こる理由とその対策【東洋医学の視点から解説】

はじめに

梅雨や夏の高湿度の季節になると、「体が重だるい」「食欲がない」「頭痛がする」といった不調を感じる方も多いのではないでしょうか?
これらの症状は、**東洋医学でいう「湿邪(しつじゃ)」**が原因とされています。この記事では、湿度が高い時期に起こる体調不良の原因を東洋医学の視点で掘り下げ、具体的な改善方法をご紹介します。

前回の記事;年齢とダイエットについて


湿邪とは?【東洋医学の基本概念】

東洋医学には、自然界の気候変化が体に影響を及ぼすという考え方があります。その中でも湿度の高い季節に体を侵す邪気を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。

湿邪の特徴:

  • 重くて停滞しやすい性質:体の巡りが悪くなり、だるさやむくみの原因に。
  • 脾(ひ)を傷めやすい:東洋医学では、脾は「消化吸収をつかさどる臓器」とされ、湿邪の影響を受けやすい。
  • 長引きやすく、回復が遅い:湿邪は一度体に入ると抜けにくく、慢性的な不調につながります。

湿邪による主な症状

  • 朝起きたときの倦怠感
  • 頭や体が重い感じ
  • 食欲不振・胃もたれ
  • 下痢や軟便
  • 手足のむくみ
  • 関節の痛み(特に雨の日)

これらの症状に心当たりがある方は、湿邪の影響を受けている可能性があります。


湿邪対策のポイント【体内の湿を取り除く方法】

1. 食事で“湿”を排出する

東洋医学でおすすめの食材:

  • はと麦:利尿作用があり、「水はけ」を良くする。
  • 冬瓜・きゅうり:体を冷やしながら余分な水分を排出。
  • 小豆:むくみを改善し、消化器系の働きをサポート。
  • 生姜・ねぎ:巡りを促進し、湿気を体外に追い出す。

ポイント:冷たい飲み物や生ものは脾胃を冷やし、湿をためやすくするので控えめに。


2. 適度な運動で「気」を巡らせる

湿邪によって停滞しがちな「気」の巡りを促すためには、軽い運動が効果的です。

  • 朝のストレッチや散歩
  • ゆったりした呼吸で行うヨガや太極拳
  • 発汗を促す半身浴もおすすめ

3. 室内環境を整える:除湿と換気

  • 室内の湿度は40~60%を目安に除湿
  • 朝晩の換気で空気を入れ替える
  • 湿気のたまりやすい場所(寝室や脱衣所)は特に注意

4. 漢方やお茶で内側からサポート

漢方薬(※使用前に医師や薬剤師に相談を)

  • 五苓散(ごれいさん):体の水分代謝を整える代表的な漢方。
  • 平胃散(へいいさん):脾胃の働きを助け、食欲不振や胃の不快感を改善。

おすすめの養生茶

  • はと麦茶、小豆茶、杜仲茶など、利尿・巡りを促す作用あり。

5. 生活リズムを整える:睡眠と休息

  • 湿邪による疲労感を回復するために、質の高い睡眠を意識。
  • 湿気を吸収しにくい麻や綿の寝具を選ぶと快適に眠れます。

湿度による不調に効果的なツボ5選

1. 陰陵泉(いんりょうせん)

場所:膝の内側、脛の骨のすぐ後ろ側にあるくぼみ
効果

  • 利尿作用を高め、むくみを改善
  • 脾胃の働きを整え、消化吸収力をアップ
  • 湿邪の排出をサポート

💡 湿気で体が重いと感じるときに、親指でぐっと押し込むように刺激しましょう。


2. 豊隆(ほうりゅう)

場所:膝と足首の中間、すねの外側、筋肉が一番盛り上がるところ
効果

  • 痰湿(体内の老廃物や水分の滞り)を取り除く
  • 胃腸の働きをサポートし、消化不良や食欲不振を改善

💡 湿気による頭の重さや吐き気があるときにも有効です。


3. 足三里(あしさんり)

場所:膝のお皿の外側の下から指4本分下がった場所
効果

  • 全身の気血の巡りを良くし、免疫力をアップ
  • 胃腸を元気にし、疲労回復や体力維持に効果的

💡 日頃の養生としてもおすすめの万能ツボ。湿気に弱い人は定期的に刺激しましょう。


4. 三陰交(さんいんこう)

場所:内くるぶしの上、指4本分の位置、脛の骨の後ろ側
効果

  • 脾・肝・腎の経絡が交わる重要なツボ
  • 水分代謝を促進し、むくみや冷えを改善

💡 女性特有の不調や冷え症にも有効で、セルフケアで人気のツボです。


5. 水分(すいぶん)

場所:おへそから指1本分上
効果

  • 腹部の水分停滞を調整
  • むくみや下痢など、湿気による腹部症状に◎

💡 軽く温めたり、ツボに手を当てて深呼吸するだけでも落ち着きます。


ツボの押し方のコツ

  • 強く押しすぎず、心地よい強さで5〜10秒押して離すを3〜5回繰り返す
  • お風呂上がりや寝る前などリラックスしたタイミングで行うと効果的
  • 指圧が難しい場合は、温熱やお灸もおすすめ(市販のせんねん灸など)

まとめ:ツボ押しで湿気に負けない体に

湿度が高い季節は、東洋医学的に「脾」と「水分代謝」のバランスが乱れがちです。ツボを上手に活用することで、体内の巡りが整い、だるさやむくみを軽減できます。

日々のセルフケアにツボ刺激を取り入れて、湿邪に強い体を育てましょう!


まとめ:湿度に負けない体づくりを

湿邪は見えない存在ですが、私たちの体に確かに影響を与えています。東洋医学の知恵を活かし、日々の食事・運動・環境づくりを工夫することで、湿気の季節も快適に乗り越えられます。

自分の体と向き合い、「湿」に負けない健やかな毎日を手に入れましょう。